海底地盤調査を加速する。
手配いただいた調査船に、自社開発した海底着座型小型CPT装置と専任オペレーターを派遣し、CPTデータを取得します。日本の洋上風力発電建設や海底ケーブル敷設などの海洋開発において、コストダウン・リスク低減に貢献します。
海洋開発での調査手法、コスト等でお困りの際は、是非お気軽にお問い合わせください。
本事業は、製品販売ではなくサービス提供となります。
CPTとは?
海底着座型小型CPT装置現在の海洋調査
エネルギー安全保障の確保やカーボンニュートラルの達成に向けた洋上風力発電を始めとする再生可能エネルギーの開発、デジタルインフラ強靭化に向けた送電・通信用海底ケーブルの効率的な敷設など、世界的な時流の変化にも後押しされ"海洋国家"日本における海洋開発は従来以上の高度化・効率化を求められる大きな転換点を迎えています。
日本はご存知の通り、温暖な気候や豊富な栄養に支えられた世界的にも有名な水産大国です。対して、海底油田といった資源に恵まれ技術開発の進んだ欧米と異なり、陸上から続く急峻な地形も相まって日本の深海の技術開発はあまり着目されてきませんでした。化石燃料や原子力の利用に制限のかかる中、再生可能エネルギー事業の発展は必須となっていますが、海洋という資源を効率的に、安全に、低負荷で活用していかなければなりません。
海洋開発の基礎となる事前調査においては、音波を利用した海底地形調査やサンプラーを使ったサンプリングなどが知られますが、特に構造物の建設に当たっては陸上と同様にボーリング調査(原位置試験)による海底地盤調査も重要です。浅い海域であれば櫓やスパッド式足場を海上に建て従来のように陸上用の標準貫入試験(SPT)を実施することで、地盤強度の確認や土質判別が可能ですが、多大な人員や時間を要し、また水深50mを超える海域では方法の特性上試験の実施が困難となります。大深度では掘削船(ドリルシップ)を用いた調査も可能ですが、国内では技術者や船舶数が限られ需要に追い付いておらず、また大型かつ高性能な船舶となることから費用も高額となります。
CPTとは
これに対し、欧米では相対する地盤強度データの取得方法としてコーン貫入試験(CPT: Cone Penetration Test)が一般的に用いられています。CPTは、先端にコーンと呼ばれるセンサプローブをつけたロッドを毎秒2cmの一定速度で貫入し、地盤の貫入抵抗を電気的データとして深さ方向に連続的に求める試験です。調査時間は短く分解能は2cmと非常に高く、地盤の土質区分と非排水せん断強さSuやせん断抵抗角φなどの土質定数を精度よく推定可能で、N値も換算推定できるとされます。機材はほぼ機械化されているため人為的影響を受けにくく、何より水中仕様化が可能です。
地層が特異的な日本においては、CPTデータはまだ少ないことから、実際のサンプルや同じ地点のN値との比較およびキャリブレーションも重要となります。今後は、既存の調査と併用し、CPTを手間暇のかかる調査と置き換えたり、CPTで調査地点数を増やしたりすることで、より高度で効率的な大深度のエンジニアリングが可能となります。
海底下のCPT調査のイメージCPTデータ取得サービス
日油技研では、海底資源調査機器など様々な水中・海洋機器の開発で培った技術・実績を基に、国内市場に適した国産CPT装置として、CIMCPT方式を採用した海底着座型小型CPT装置を開発しました。
そのCPT装置本体と、船上の関係機材、そしてオペレーターを伴ったパッケージとしてサービスを提供し、CPTデータを取得して提供します。
サービスの特徴とメリット
- 比較的小型な国内船舶を利用可能
- 連続貫入により測定時間を短縮
- 波浪の影響や緩みがなくデータが安定
- 船舶によっては浅瀬での調査も可能
- 日本語でコミュニケーション、現場調整が容易
- 装置の購入・資産化、人材育成が不要
- 予備品・消耗品を用意し、船上でトラブルに対応
- 環境や海域利用者様らの負担・不安を軽減
CIMCPT(Continuous Intrusion Miniature Cone Penetration Test)方式は、コイル状ロッドとミニコーンが特徴で、装置の小型化と調査の高速化、データの安定化を実現します。
装置の小型化により、大型専用母船を必要とせず比較的小型な国内船舶を利用できるようになるので、各所運用コストを低減できます。
海底着座型かつコイル状ロッドによる連続貫入で、データが安定します。また、従来の定尺ロッドの継ぎ足し方式よりも測定時間を各段に短縮できるので、内容によっては1日に複数地点の調査が可能となります。
オペレーターは国内企業の日本語話者(必要に応じ英語話者も手配可能)ですので、調整時および現場でのコミュニケーションを煩わせることはありません。
装置を購入していただく訳ではないので、操作者を育成する必要はなく、必要なタイミングで必要な期間にご利用いただくことで、全体的なコスト削減にも繋がります。
船舶によっては浅瀬でも調査でき、装置は小さく調査時間も短く済みます。環境や海域利用者様らの負担も軽減することに繋がります。
CIMCPT方式スラストユニット
着水時のCPT装置
海底に着座したCPT装置撮影協力:日本海洋事業(株)
サービス構成
- CPT装置(水中部本体)
- 船上ウインチ
- アンビリカルケーブル
- 専用シーブ
- 操作コンテナ
- 予備品、消耗品
- CPTオペレーター
- 発電機(船からの電源確保が難しい場合)
クレーン付き台船での調査時の様子
全体システム(下線部がサービス提供物)CPT装置の仕様
CPT装置(水中部本体)は、調査対象や要望に合わせ[Type-C2]と[Type-C5]の2つのタイプに換装して使用します。
それぞれの主な調査対象の例と仕様は下記表をご覧ください。
スクロールしてご覧いただけます。
| Type-C2 | Type-C5 | |
|---|---|---|
| 主な調査対象の例 | 海底通信ケーブルルート | 海底送電ケーブルルート 浮体式風車アンカー設置点 SEP船レグ設置点 |
| 最大使用水深 | 2,000 m | 900 m |
| 最大貫入長※1 | 約 5 m | 20 m |
| コーンサイズ※2 | 断面積 2 cm2 (Φ 16 mm) | 断面積 5 cm2 (Φ 25 mm) |
| 計測項目 | 先端抵抗 qc 周面摩擦 fs |
先端抵抗 qc 周面摩擦 fs 間隙水圧 u 傾斜 |
| 主要寸法 | 約 2.2 x 2.2 x H2.4 m | 約 2.2 x 2.2 x H2.6 m |
| 質量 | 約 2.4 ton | 約 4.5 ton |
| センサー類 | 測位、深度、方位、傾斜、水温、カメラ等 | |
※ 仕様は予告なく変更することがあります。詳しくはリーフレット「地質調査機器」や「CPTデータ取得サービス」も参照ください。
※1 土質によります。保証値ではありません。
※2 5cm2コーン(Type-C5用コーン)は、地盤工学会基準 JGS 1435-2012にて規定
調査対象の例
- 海底通信ケーブルルート
- 海底送電ケーブルルート
- パイプラインルート
- 浮体式風車アンカー設置点
- SEP船レグ設置点
- その他、港湾工事など
