温度帯とは?品質と安全を守る温度帯管理の重要性

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製品の品質と安全を確保するためには「温度帯管理」が非常に重要です。特に、食品や医薬品、化学品などを扱う企業にとって、適切な温度での管理は法令遵守はもちろんのこと、顧客からの信頼を得る上でも欠かせません。

この記事では、温度帯管理の基本的な考え方から、なぜそれが重要なのか、そしてどのようにして現場に導入・改善していくべきかについて、具体的に解説していきます。


1. 温度帯とは?基礎知識と重要性

温度帯とは何か?

「温度帯」とは、製品の品質保持や安全確保のために定められた、特定の温度範囲を指します。原料の保管から製造工程、そして製品の保管・出荷に至るまで、様々な段階で適切な温度帯管理が求められます。

不適切な温度管理が引き起こすリスク

温度管理を怠ることで、様々なリスクが引き起こされます。まず、製品の品質劣化は避けられません。例えば、化学製品であれば成分の変質、医薬品であれば有効成分の効力低下や副作用の発生、そして食品であれば腐敗や食中毒の原因となる微生物の増殖などが挙げられます。

これらの品質問題は、リコールや製品回収といった事態を招き、多大な経済的損失だけでなく、企業のブランドイメージ失墜や顧客からの信頼喪失につながります。

また、特定の製品では、温度変化が火災や爆発などの事故に直結する可能性もあります。法令遵守の観点からも、温度管理は非常に重要です。特に食品や医薬品には厳格な温度管理基準が設けられており、違反した場合には行政指導や罰則の対象となる可能性があります。

2. 温度管理の課題とは

人手不足と管理体制の限界

現在、日本国内では多くの業種で深刻な人手不足に直面しています 。その中でも特に、熟練の技術者が高齢化し、後継者不足も進んでいるのが課題です。このような状況では、温度管理のような手間のかかる作業に十分な人員を割くことが難しく、管理体制が限界を迎える場合があります。

コスト増加

適切な温度管理には、高性能な計測機器や空調設備、そしてそれらを維持するための電力コストなど、相応の設備投資が必要です。人件費の継続的な上昇も、企業収益を圧迫する要因となっています。

経験と勘に頼っている

長年の経験を持つベテラン作業員の「勘」による温度管理は、時に高い精度を発揮することもありますが、これは属人的な知識であり、形式化が難しい側面があります。

人手不足が進む現代において、このような属人的な管理方法は、技術継承の課題や、担当者不在時のリスクにつながりかねません。新しい従業員が同様の品質を維持するためには、標準化された管理体制が重要です。

3. 主な温度帯区分(3温度帯、5温度帯)

3温度帯とは?

物流業界で一般的に「3温度帯」と呼ばれるのは、「常温」「冷蔵」「冷凍」の3つの温度帯です。これらの温度帯は、それぞれの製品が持つ特性や品質保持の要件に合わせて使い分けられます。具体的には、それぞれ以下のような特徴があります。

常温

特別な温度管理を必要としない温度帯で、一般的に10℃~30℃程度の範囲を指します。多くの工業製品、一般的な飲料、缶詰などが常温で保管・輸送されます。ただし、直射日光や高温多湿を避けるなど、最低限の環境管理は必要です。

冷蔵

一般的に10℃以下の温度帯を指し、食品の鮮度保持や医薬品の安定性維持に用いられます。微生物の増殖を抑制し、品質の劣化を遅らせる効果があります。チルド食品や生鮮食品、一部の加工食品などがこの温度帯で管理されます。

冷凍

-15℃以下、あるいは-18℃以下といった氷点下の温度帯を指します。食品の長期保存を目的とし、微生物の活動を完全に停止させ、品質劣化を大幅に抑制します。冷凍食品、アイスクリーム、一部の医療品などがこの温度帯で管理されます。

5温度帯とは?

物流業界では、上記の3温度帯(冷蔵・常温・冷凍)に加え、定温を細分化した「チルド」(0℃〜10℃)や「フローズン」(-18℃以下)といった区分を設けることで、より詳細な「5温度帯」として運用される場合もあります。これにより、さらに多様な製品の品質保持に対応することが可能になります。

4. 食品衛生法の温度管理基準は?

食品衛生法における温度管理の目的

食品衛生法は、食品の安全性を確保し、国民の健康を保護することを目的としています。その中で温度管理は、食中毒菌の増殖を防止し、食品の腐敗や変質を防ぐための重要な手段と位置付けられています。

適切な温度管理は、HACCP(危害要因分析重要管理点)などの衛生管理手法の基礎を成すものでもあります。

食品ごとの温度管理基準

食品衛生法では、食品の種類や特性に応じて具体的な温度管理基準が定められています。例えば、冷蔵食品は10℃以下、冷凍食品は-15℃以下での保存が義務付けられています。

また、加熱調理後の食品は迅速に冷却し、中心温度が特定の温度に達するまでに要する時間を管理するなど、製造工程における温度管理も細かく規定されています。

5. 温度管理を成功させるポイント

現状把握と課題の特定

使用している計測機器の種類、温度チェックの頻度、記録方法、異常発生時の対応フローなどを洗い出し、品質不良やコスト増を招いている原因を特定します。

例えば、手作業による記録でミスが多い、特定の場所だけ温度が安定しない、といった具体的な課題を明確にすることが第一歩です。

管理対象と目標温度の策定

管理すべき製品や工程を特定し、それぞれの製品特性に応じた適切な目標温度帯を明確に定めます。この際、単に法令基準を満たすだけでなく、製品の品質を最大限に維持できる最適な温度を科学的根拠に基づいて設定することが望ましいです。

6. まとめ:効率的な温度管理をするために

効率的な温度管理を実現するためには、適切なツールの導入が効果的です。特に製品の輸送中や保管中など、継続的な監視が難しい場所では、温度異常を自動で感知できるシステムが必要となってきます。

示温材(サーモラベル®)を使用すると、遠隔地への製品輸送時や、温度計の設置が困難な狭いスペースでの温度管理に活用されています。製品の品質管理に課題を感じている方、解決策をお探しの方は、下記より詳細をご覧ください。




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