温度分布とは?効率的な測定方法や課題、温度マッピングについても解説

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製品の品質を安定させるためには、温度分布の適切な管理が不可欠です。しかし、温度の偏りやムラは多くの企業において課題となっており、品質問題や生産効率の低下を引き起こす要因となることもあります。

この記事では、温度分布とは何か、温度分布は企業にどのような影響を与えるのか、そして効率的な測定方法や改善策についてご紹介していきます。



1. 温度分布とは?

温度分布の目的と重要性

温度分布とは、製品や材料、あるいは製造装置内の特定の空間における温度の偏りやムラを指す言葉です。この温度の偏りは、品質の安定性や製品の性能に大きな影響を与える場合があります。

例えば、食品製造では製品の中心部まで適切に加熱・冷却されているか、医薬品製造では保管温度が一定に保たれているかといった点が重要となります。

温度分布を正確に把握し、管理することは、製品の品質を均一に保ち、不良品の発生を抑えるために不可欠な要素です。

温度マッピングの概念と目的

温度分布と密接な関係にある「温度マッピング(Temperature Mapping)」とは、特定の空間や装置内で複数の箇所の温度を同時に、かつ一定期間測定し、その分布状況を詳細に記録・分析する手法です。

この手法は、温度の均一性の確認や品質保証、そして医薬品や食品などの法規制対応を目的としています。データを分析して改善策に繋げることで、製造プロセスの最適化や品質向上に貢献もしています。


2. 温度分布が生じやすい場所と課題

加熱・冷却工程での温度ムラ

加熱・冷却プロセスでは温度ムラが発生しやすく、特にオーブンや乾燥機内部では熱源からの距離や空気の対流、製品配置が原因で加熱ムラが生じます。

また、冷却装置や冷蔵庫では冷気の流れの不均一さ、熱交換器では熱媒体のムラや汚れが温度差を引き起こします。

乾燥・保管工程での温度不均一

乾燥機内では、製品の形状や配置、乾燥機の種類により乾燥ムラが生じ、水分含有量が不均一になる場合があります。また、広範囲の倉庫や保管庫では、外部の熱や空調、製品の積み上げ方で温度差が発生しやすく、特に壁際や窓際には注意を払う必要があります。

温度が不均一な環境で乾燥・保管を行うと、製品の劣化、変質、カビ発生に繋がり、また食品・医薬品では安全性に関わる問題となる可能性があります。

設備・装置における温度分布

製造ラインの設備や装置自体にも温度分布の問題が存在します。恒温槽やインキュベーターでは、ヒーターやファンの配置、開閉頻度によりわずかな温度差が生じ、精密な試験や培養に影響を与える場合があります。

また、配管やタンクでは、熱伝達や内容物の滞留、流速のムラが原因でホットスポットやコールドスポットが発生し、反応効率の低下、内容物の変質、設備損傷につながる可能性もあります。


3. 温度分布が与える影響

製品不良・欠陥の発生

温度分布の不均一は、製品の品質に直接的な悪影響を与えます。

例えば、電子部品の製造工程でのはんだ付け温度のムラは、接合不良を引き起こし、製品の寿命を縮めることにも繋がります。食品製造においては、加熱不足による微生物の繁殖や、過加熱による風味の劣化などが考えられます。さらに、医薬品の製造や保管においては、温度逸脱が成分の変質や効果の低下を招き、最悪の場合、人々の健康に重大な影響を及ぼす可能性もあります。

顧客満足度を向上させ、企業としての信頼を築くためには、温度分布による製品不良を出さないことが不可欠です。

品質安定性の低下

温度分布が不均一な環境下で製造された製品は、個体差が生じやすくなります。

例えば、樹脂成形品の冷却工程で温度ムラがあると、製品の収縮率にばらつきが生じ、寸法精度が安定しないことがあります。

これは、後工程での加工不良や組み立て時の問題を引き起こし、全体の品質安定性を低下させる要因となります。常に均一な品質の製品を供給できないと、顧客からの信頼を失う可能性は高くなります。

歩留まりの悪化

例えば、特定の加熱炉で一部の製品だけが焦げ付いたり、あるいは十分に乾燥しなかったりする場合、それらの製品は廃棄処分となるため、生産効率が低下し、原材料費や加工費の無駄が発生します。

歩留まりの悪化が発生することで、生産計画の達成が困難となり、企業の収益性を直接的に圧迫する要因ともなります。


4. 効率的な温度分布の測定方法

熱電対・測温抵抗体

熱電対や測温抵抗体は、特定の1点の温度を連続測定するのに適した高精度な温度センサーです。

熱電対は2種類の金属線の接点での熱起電力を利用し高温測定に、測温抵抗体は金属の電気抵抗変化を利用し安定測定に適しています。

サーモグラフィー

サーモグラフィーは、物体が放射する赤外線を検知し温度を画像で表示する装置で、非接触で広範囲の温度分布をリアルタイムに可視化できる特長があります。

これにより、異常発熱箇所の早期発見や加熱・冷却ムラの全体像把握に役立ち、稼働中の装置や製品の温度測定にも適しています。

温度データロガー

温度データロガーは、温度センサーと接続し、温度データを自動記録する装置です。長期間の温度変化を連続的に記録でき、過去データとの比較やトレンド分析に役立ちます。

また、無人でのデータ収集による人件費削減や省力化、PC接続でのデータ解析・グラフ表示が特長です。

当社では、サーモボタンというボタン電池タイプのコンパクトな温度データロガーを取り扱っております。
詳細は下記リンクよりご覧ください。


5. まとめ:温度を「見える化」するために

品質安定と競争力向上には、温度分布管理が不可欠です。加熱・冷却、乾燥・保管工程、設備内部で発生しうる温度ムラは、製品不良や歩留まり悪化に繋がります。

これらの課題を解決し、温度を「見える化」する第一歩として、手軽に導入できる当社の示温材(サーモラベル®)の活用がおすすめです。

示温材(サーモラベル®)は、目視で簡単に温度変化の有無や最高到達温度を確認できます。これにより、これまで把握が難しかった装置内部や製品表面の、ピンポイントな温度履歴を低コストで記録できるため、問題点の早期発見や品質改善に貢献します。

示温材(サーモラベル®)については以下をご覧ください。




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